特別養護老人ホーム「いなぎ苑」に入居されている方のベッドから眺める天井に絵を描いてもらいたいという施設長永田様のお話から、天井画を描く方との橋渡しをさせていただきました。
初めていなぎ苑を訪れた際、玄関ホールには大きな赤い野点傘とゆったりとしたソファーセットがあり、そこでお茶を飲みながらゆっくりと人心地つけるようなスペース、ささやかなBGMや飾られた絵、気になるような匂いもなく、施設側の様々な配慮を感じました。実際に施設長永田様にお話を伺うと、そこを利用するお年寄りのために住まいとしての温かさが感じられるようにと、カーペットや壁、天井、家具の色を検討したり、音楽のある暮らしとして流すBGMの選曲など、施設内の環境づくりに配慮されていました。
また、いなぎ苑では有名無名に関わらず様々な方が描いた絵が100枚以上、廊下やお部屋に飾られていました。そして、お年寄りが絵を見てこれまでの人生の様々な楽しかった時を思い出したり、絵を見てさらに自分の夢を描くきっかけになったりすることから、自分で身体動かすことが難しい方のベッドの天井に絵を描いてもらいたいと考えられたそうです。
そこで、施設側の希望である、お年寄りにとっての夢や思い出、子供が楽しそうにしている姿、ほのぼのとしたもの、明るい、癒されるようなものをテーマに天井画を描いて下さる方を募りました。参加して下さる方々が、施設長永田様の「人は亡くなる寸前まで夢を描く。たとえ今寝たきりだっだとしても人生が良いものであったと思ってほしい」という気持ちに寄り添い仕上がっていく様子をお伝え致します。