1968年に建てられた鉄筋コンクリート造の戸建て住宅を住み継ぎ、出入りが少なくなった部屋の改修工事。
現在の家族の好みに合わせた居心地の良さを再構築する計画です。緑豊かな敷地内で、室内外のつながりに配慮しながら、明るさを求めるご要望に応える明暗バランスを提案しました。断熱改修も合わせて行うことで、一年を通して豊かな四季の移り変わりを心地良く過ごせるように再生しました。
既存のお住まいは落ちついた和を感じるインテリアと時を経て色味が濃くなった木材が印象に残る佇まいです。庭木や近くの畑で収穫した野菜や果実を日常生活へ楽しんで取り入れている家族のご様子が伺え、これまでにも何度もリフォームやメンテナンスを行い、手を掛けながら住み継いでいる様子が設計中の聞き取りでよくわかりました。
今回の改修工事の範囲は、家中で最も寒く暗いエリアであったことも出入りが少なくなって行った原因のようでした。ただ明るいだけではなく、既存の住まいとのバランスに配慮した材料や採光と照明の濃淡を計画しました。そして既に他の部屋では行っている断熱改修が、今回の改修範囲では行われていないということで、窓サッシ、勝手口ドア、壁床天井ぐるりと断熱工事を行い、施主ご希望の薪ストーブを導入しました。
改修範囲を大きく3つのエリアに分けながらも一体で使える2室と畑の収穫物の作業や貯蔵の様子を楽しむ土間と勝手口の1室が、家全体の動線の中で回遊するプランです。ご家族の暮らしを長いスパンで想像しながら提案し、その後、楽しく過ごして下さっている様子を聞き、とても嬉しいです。
住みながらの既存部分の解体工事に始まり、既存RC躯体の中の木工事、既存合わせのサッシ工事、木製建具、左官、塗装、畳のある和の部分や、宝形天井の土間、電気設備工事、薪ストーブ、カーテン工事とそれぞれの職方皆様のたくさんの気遣いと技術、それらをまとめる現場監督とのご縁は、この家ながらのものです。住みながらの工事は双方に負担がありますが、人の手でできあがっていく様子を間近に感じる経験は、家の使われ方に多少なりとも影響するようにも思います。今回の工事で住まいへの愛着度合いが増し、ご家族の皆さんが健やかに過ごして下さることを願っています。
設計監理:一級建築士事務所 結人建築設計事務所/吉野百合江
構造アドバイス:叶構造設計/唐沢真
施 工:株式会社小野組/赤井範彦、田代直行
各種工事担当(木工事・篠崎工務店/篠崎、江成工務店/江成
建材納品・越智産業株式会社/吉田、
塗装工事・有限会社高野塗装/高野、
左官工事・有限会社鈴正左官工業/鈴木、
鋼製建具工事・株式会社アベルコ/佐藤、
木製建具工事・株式会社稲野辺木工所/稲野辺、
内装仕上工事・株式会社トーエイ/青木、
電気設備工事:有限会社洋光電気/田中
薪ストーブ納品:株式会社モキ製作所/松澤、
薪ストーブ設置工事・株式会社永和/小澤、
カーテン工事:株式会社ナルシマ/鳴島郁子)