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  熱の伝わり方     
   
念願の土鍋を購入しました。欲しいなぁ欲しいなぁと長らく思い続けていたこともあって、土鍋で調理した食材が、金属のお鍋で調理したものとだいぶ味わいが違うことに一々新鮮な驚きを感じています。
その違いを一番比較しやすかったものは、炊飯です。電気炊飯器と土鍋で炊いたご飯では同じお米の炊きあがりの違いをとても顕著に感じます。 美味しさについては人による好みがあるとは思いますが、同じ袋の中のお米が、熱の伝え方の違いだけでまるで別物のように違う味になることに、とにかく私にはとても驚きなのです。

ふと、それはお米だけではなく物事や人に対してもその情熱の伝わり方、伝え方で結果は違うものになるという気がします。 自分の持っている素材は、熱の伝え方で変わるのであれば、もっと考え方が広がるような気がします。
建物や建材もどこにどう情熱を注ぐかで結果としての建物は違うものになるでしょう。
どこに愛着をもって使い続けるかで経年変化は違うものになるでしょう。
物に与える熱は環境や人が与えるのですから、建物としてその熱の伝え方を建て主と共に考えるのが設計事務所の役割だと思います。 多くの製品という完成品を買って過ごす時代ですが、その組合せ、お金のかけ方、どこを造っていくのか、建て主の環境や暮らしを日々考えています。


ちなみに私が購入した土鍋は、「鍋を囲むみんなが正面です」というキャッチフレーズが大変気に入っている取っ手のない土鍋です。 正確には取っ手は土鍋の全周にあるツバのような部分になります。このユニバーサルな機能デザインも気に入っているのです。 外観の素焼きの赤っぽい色味も相まって「植木鉢みたい」とも言われてもおりますが、誰がなんと言おうと私のお気に入りです。
2012.(吉野 百合江)


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